第34回 人工妊娠中絶用製剤について
2024年5月20日 人生100年
ラインファーマ株式会社 北田 諭士 氏
この薬は経口中絶薬であり昨年5月から販売し自費製剤である。
使用施設は全国で140施設が登録、適切な使用体制が確認されるまで胎嚢排出まで院内待機が必須である。2剤目投与から胎嚢排出まで院内待機、当日の日帰り入院が可能である。1箱で一人分となっている。
国内で初めて薬剤での人工中絶が可能な製剤である。適応は妊娠9週と0日までとなっている。
飲み方は1剤目ミフェプリンストン1錠を服用後36時間から48時間以内に2剤目を4錠バッカル服用する
2剤をパックにしたのはオーストラリア、カナダ。そして日本が3番目
海外ではミフェプリストンは30年以上前から販売されている
フランスではおよそ70%は経口中絶薬を使用、北欧では95%にのぼる。国によって文化が異なるために外科手術の割合が国ごとに違うのは当然と考えられる
手術注射麻酔を避けたいという希望が多い。プライバシーを守りたいという希望も多い。
手術を選ぶか薬剤を選ぶか選択ができるのが大切。
1度の中絶であっても大きなイベントである。自分で選んだ事が大事。
外科手術は初期には難しく日を待つことがあるが中絶薬は使用できる。
投与後は子宮出血と痛みが出てくる。
1剤目は抗プロゲステロン作用がある。嘔吐や悪心がある。まれに1剤のみの服用後でも出血や子宮内容物が出てくることもある。帰宅可能。
2剤目は子宮収縮作用等あり下痢や下腹部痛が出る。4時間までに61.7%、さらに4~8時間で26.7%の人が子宮内容物が自然排出される、時間までに胎嚢排出が無い場合は外科手術を行うことも可能である。
あらかじめ鎮痛剤を使用するのが無難である。2剤とも重篤な副作用は認められない。2剤とも医師の面前投与となっている。外科的手術の同意をとり、注意事項のカードを終了まで常時持ち歩いてもらう。
PBACスコア出血量評価チャートを用いたところ胎嚢排出前に高いが排出後は減少する。
胎嚢排出時に痛みのピークがくるが痛み11段階のうち3.8であった。いずれの症例にもあらかじめ鎮痛剤投与している。
この薬はウエブ登録申請が必要で母体保護法指定医師のみが使用可能である。在庫が確認されたらホームページに公表する。