第22回 女性のためのトイレのお話
2023年1月31日 人生100年
2023年1月31日
プリンラボ
キッセイ薬品工業株式会社
堤山 瞬 氏 武野 朱美 氏
女性の5人に一人が排尿に悩みがあると言われており、女性の尿道は男性に比べて短く、直線的に下に向かうもれやすい構造になっている 。
また、出産や加齢で、膀胱・子宮・直腸など骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋がゆるむことにより、膀胱、尿道がぐらつき、尿道を閉じる力が弱まるために尿もれがおこる。
尿漏れには、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、混合性尿失禁がある。
・切迫性尿失禁:突然強い尿意を感じ、トイレまで我慢できずにもれる。 膀胱の筋肉が過剰に働くこと(排尿筋過活動)が原因で、過活動膀胱と呼ばれる。 加齢とともに増加
・腹圧性尿失禁:くしゃみをしたとき、急に走ったりジャンプをしたとき、重い荷物を持ち上げたときなど、 腹圧がかかるともれるタイプ。 出産を経験した女性や肥満の女性に多くみられる
・混合性尿失禁:切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁が混在するタイプ。閉経後の女性に多くみられる
トイレが近くなる主な原因
泌尿器の病気:過活動膀胱、膀胱炎、膀胱結石、間質性膀胱炎、膀胱がん など
泌尿器以外の病気:脳卒中、パーキンソン病、糖尿病、椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの術後 など
その他:水分のとりすぎ、利尿薬のとりすぎ、加齢、トイレが気になる(心因性)、原因不明 過活動膀胱では、排尿システムのどこかにトラブルが生じ、自分の意思とは関係なく膀胱が勝手に縮んだり、 過敏な動きをしてしまう。尿がたまっていないのに指令がいく
・尿意切迫感:急にトイレに行きたくなり尿が漏れそうになる
・昼間頻尿:8回以上
・夜間頻尿:夜間1回以上
・切迫尿失禁:トイレまで間に合わず尿を漏らしてしまう
→チェックシートあり
生活指導について
過活動膀胱の行動療法には体重減少させる、膀胱訓練や骨盤底筋訓練がある
膀胱訓練:尿意をもよおしても、できるだけ我慢し、膀胱の容量を広げる訓練 Frequency Volume Chart(FVC)排尿日誌をつけてみる
骨盤底筋訓練:肛門や膣や尿道口をすぼめるように、10数秒かけてゆっくりしめる。
つぎにゆっくりゆるめる。 10回1セット×1日3~5セット 。
夜間頻尿の水分のとり方と生活習慣の見直し
・水分のとりすぎない(ただし脱水には注意する)
1日水分必要量 体重×30ml 例)体重50kgでは1.5ℓ
・寝る前にはアルコール、カフェインの摂取は控える
・塩分を控える
・夕方軽い散歩をする
・クッションなどで少し脚を高くして短めの昼寝をする
脚がむくんでいると、夜中に横になったときに水分が血管内に移動し、腎臓から余分な水分 を出そうとして尿が作られる。
昼間のうちに脚の下にクッションなどをあてて、脚を上げて昼寝をすると、日中のうちに水分の 排出を促すことができる。
・弾性ストッキングを着用する