医療法人社団ブロッサム 苗穂レディスクリニック

プリンシパル研究所

第26回 女性特有の便秘と薬の選択

  2023年5月8日    人生100年

2023年5月8日

持田製薬株式会社      秋野 修佑 氏

便は食後8時間後に作られます。排便には十分な水分や食物繊維が必要です。統計から女性に便秘が多く、黄体ホルモンの影響もあり大腸通過時間が男性に比べ長く直腸に行く前に水分を失います。日本人食物繊維摂取量が年々減少女性は1日18g食物繊維が必要です。肛門疾患の切れ痔は女性に多い。

加齢と共に男女とも便秘が増えます。思春期はダイエットの影響で食物繊維が不足し便秘になることが多く、下剤も多用されている事が報告されています。センノシド刺激性下剤は便秘を悪化させますし大腸がんのリスクも上がります。黄体ホルモンと便秘は関係が深く、月経前に便秘になる事が多い。

黄体期には大腸の蠕動運動が低下し大腸の通過時間は2倍という結果もあります。妊娠中の便秘も黄体ホルモンの影響や子宮の腸の圧排が原因といわれています。便秘で排便習慣が失われる事も悪化の原因です。更年期以降は骨盤臓器脱や加齢による大腸蠕動運動の低下等で慢性の便秘となります。

加齢とともに直腸感覚閾値が変化し便意を感じにくくなります。便秘はQOLの低下を招きます。便秘でいきむと心血管系に負荷がかかります。

便秘薬の使い分けについて。便秘の時はまずどの世代も生活習慣を改善し食事時間の改善をしましょう。今年7月に慢性便秘症診療の新ガイドラインが発表されますが、現在のガイドラインでは市販薬で多いセンノシドは屯用、短期間の使用を推奨されています。刺激が減少するので薬剤使用量が増える事があります。

 2017年以降に発売されたポリエチレングリコールであるマクロゴールプラス電解質混合薬(商品名モビコール)は小児科医からの要望で発売され水に溶かして服用する薬剤です。

n次に胆汁酸利用の薬剤グーフィスですが、大腸内に流入する胆汁酸量を増やすことで便秘を改善します。5%に腹痛や下痢を感じる方がいますので減量等で対応します。食前に服用します。

 色々な薬剤の中から自分に合った薬剤を使用してください。

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